我が国では、世界的に知識経済社会への潮流が強まる中、国際競争力を高めていくために、科学技術駆動型の新産業、新市場を創出する様々な取組が進められています。しかしながら、しばしば「基礎研究の成果が活かされない」、あるいは「応用研究の成果や技術シーズが開発研究に活かされない」といった課題も耳にします。また、科学技術が余りにも細分化され専門領域化されている中、自然科学知識と人文社会科学知識との学際的統合の必要性もいわれています。

 川崎市は、戦前・戦後を通じて我が国を代表する工業地帯として発展してきた都市ですが、最近では、企業、大学などの研究開発機関、そして研究開発を支える基盤技術を有する優れた中小企業群が数多く立地し、また、多くの研究者や技術者が活動する研究開発都市に変貌しています。

 こうした中、川崎市では、研究開発都市としての機能向上に向けて、平成18年度に、様々な組織に属し活動している研究者や技術者が顔の見える交流をし、知的に刺激し合い、研究開発マインドを醸成する「かわさき科学技術サロン」を設置し、運営することにより、知の交流拠点をめざす新たな取組を進めています。

 知識経済社会においては、研究者や技術者の活躍が期待されています。研究者や技術者が組織や専門分野を超えて、集い、交流するという川崎市の取組は、新たな人材育成の試みとして、また、地域のイノベーションを活発化させる試みとして、一つの先進的なモデルになりえるのではないかと考えています。

 研究者や技術者が、自由に情報交換し、議論し、そして様々な人的ネットワークを築くことは、自らの研究開発力の向上につながるとともに、今後の企業活動などに大きく寄与するものと思います。

 是非、このサロンの趣旨にご賛同いただき、多くの企業、大学、研究開発機関の皆様のご参加を、心よりお待ちいたしております。